陸王

業績が傾きつつある足袋製造会社の「こはぜ屋」を営む宮沢が、社運回復を賭けてランニングシューズの「陸王」を作ろうと奮闘する話です。
それにランナーとしての復活を目指す茂木の話、宮沢の息子である大地の就活の話がからんできます。
一難去ってまた一難、という感じに次々にトラブルに見舞われ、観ていてハラハラし通しで、ややストレスが溜まることは否定できません。
でも一話ごとに必ず、困難を乗り越えたり、こはぜ屋に立ちはだかる大企業のアトランティスの鼻をあかしたりする場面が用意されているので、続きが気になって仕方がありませんでした。
優れた原作・シナリオを支えているのが役者たちです。役所広司はこういう、困難に立ち向かう中小企業の経営者を演じさせたら、天下一品だと思います。
また、敵役といえるアトランティスの上司・部下のコンビを演じるピエール瀧と小藪千豊の演技も秀逸です。
ドラマ前半ではただただ憎たらしいだけでしたが、次第に憎たらしさを越えて面白くなってきてしまいました。
そして最終的にこはぜ屋のパートナーとなるフェリックスの社長の御園を演じる松岡修造が、想像以上に演技がうまく、驚きました。
こはぜ屋の従業員の一人を演じる阿川佐和子に至っては、本当に足袋屋で働いているのではないかと思うくらい、はまり役です。
他にも、こはぜ屋が陸王を完成させる大きなきっかけとなった、新素材のソールの技術を提供した飯山を演じる寺尾聡や、飯山を支える妻の役のキムラ緑子など、大ベテランが脇をしっかり固めていることで、素晴らしいドラマに仕上がったのだと思います。